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【美術展の感想】拝見のススメ 陶磁器編(表千家北山会館)

茶道の表千家の文化会館である、北山会館の企画展「拝見のススメ 陶磁器編」へ行ってきました(会期2023年4月28日~7月2日)。

記事にはしてないのですが、こちらで行われた以前の企画展「おいしいお茶のヒミツ -炭・水・菓子・茶への想い-」がとても初心者にはわかりやすくてよかったんですよね。
お茶が昔は貴重なものであった、というのは頭でわかっているつもりだったのですが、展示を見ることでより身近にその感情を感じることができるようになって、この展示を見てからお茶やお道具に向き合う気持ちが変わりました。

ということで、こちらで行われている企画展で初心者向けの物があったらぜひまた伺いたいなあと思ってチェックしていたところ、今回の企画展を発見。
しかも内容が「拝見」について! 拝見のときに「茶碗ですねえ」くらいしかわからない私としては、とても気になる内容だったので楽しみにしていました。

由緒の大切さを感じた企画展と感想

拝見の見どころを知るということで、なんとなく「ここの部分はこういう種類があって~」みたいな展示がたくさんあるのかな、と思っていたのですが、そういう教科書的な内容ばかりではありませんでした。

企画展を順路通りに進むと、まず最初にあるのが「象太郎」という名の茶碗についての展示。このお茶碗がなぜ作られたのか?その背景には何があって、後世どのような影響を与えたのか、ということがまとめられています。
企画展の最初のパネルでも茶碗の由緒(ものがたり)についての説明がされており、今回の展示の目的の1つとして、茶碗の背景に広がる人々の想いや関わりについて伝えたいという考えがあるのかなと感じました。
茶碗の「由緒」と言われるとなんだかお高く留まっているようで身構えるところがあったのですが、「ストーリーを楽しむ」と言われると急に面白そうに感じられて、拝見のときに色々お話が聞きたくなりますね。

前回の展示のときにも思ったのですが、パネルに書かれている文章が本当に良いんです。
今まで知識として知っていたものが急に具体的になるとか、なんとなく敬遠していたものを身近に感じるとか、そういった新しい視点を導いてくれる内容なんですよね。
撮影禁止のマークがある展示品以外は写真を撮れるので、前回も今回も展示品だけでなくパネルも撮影して持ち帰らせてもらいました。

象太郎の展示の後はなんとなく想像していた内容に近いもので、例えば高台の見方の説明があってその下にいくつかの茶碗があって比べて見られる…というもの。
見どころを比較するために複数の茶碗見られる機会ってなかなかないので、とても楽しく見ることができる内容でした。

そのほかにも、茶道具の「写し」についての展示や、茶道具を作る永樂家の作品展示などがあります。
私は由緒の楽しさに気づけたことで満足してしまって割とその他の展示は流して見てしまった(記事にするほど言語化できていない)ところがあるのですが、後からよく考えると他の展示も良い内容だったからもっとしっかり考えながら見ればよかったな…と思います。

今回「陶磁器編」と銘打たれているいうことは、次回以降別の「拝見のススメ」が企画されているのかな、と期待したいですね。

お茶もいただけます

入館料に呈茶代が含まれているので、広々とした席でゆっくりとお茶をいただけます。

基本的には特製のお煎餅と、そのときどきで変わるお菓子という組み合わせなのかな。
今回いただいたのは、松屋藤兵衛のさざれ石。歯ごたえがありながらもくちどけの良いお砂糖と、ふんわりと香るニッキ(ショウガだと思ったんですが調べたらニッキらしいです…)のおいしいお菓子でした。
こちらのお店、名前は知っているのですが有名な「松風」がどうも私の好みに合わないかもなあ…と思って行ったことがなかったんですよね。でも、さざれ石はとても好きな味だったので、今度近くに寄ったら覗いてみようと思います。

↑以前にあんまりにも茶碗のことがわからなくて買った本。
お茶に特化した内容ではないのですが基本的なことが分かりやすく充実した内容なので、今回の展示内容と比較しながら読み直しています。

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