私は非常にミスが多い人間です。そして小心者なので、「ミスがあるかもしれない」と思うだけでものっすごいストレスを感じます(後述しますが、この不安を抱えているだけでミスが増えるので悪循環だということがこの本を読むと分かります)。
仕事のミスをなくして、もう少し心穏やかに人生過ごしたいなあと思って読み始めた本書。
脳科学や認知科学の研究をベースにして、私たちの脳の癖とそれに伴うトラブル、そしてその対処法が説明されています。
私たちの脳は想像よりもポンコツなのに、脳がそれに気付かせないためにミスを繰り返してしまっているようだぞ、ということに気づかせてくれる本です。
ちなみにAmazonの試し読みで目次が丸ごとみられるのと、少しだけ本文が読めます。
どういう内容の本かわかりやすい試し読みになっているので、気になる方は覗いてみてください。
この本の基本的な構成
この本では仕事のミスを大きく4つに分けています。
1.メモリーミス
2.アテンションミス
3.コミュニケーションミス
4.ジャッジメントミス
さらにこの4つそれぞれについて、以下の3つの流れで説明しています。
a.ミスが起きる原因
b.ミスの基本対策
c.マスターへの道
特に私がお勧めしたいのは、「a.ミスが起きる原因」。
なぜならば、この部分では私たちの脳の癖や錯覚について説明していて、大なり小なり誰にでも当てはまる内容だから。
そのため、この部分に限っては「私には当てはまらないから読まなくてもよかったな」とはなりません(「知っているから読まなくてもよかったな」はあるかもしれませんが)。
なぜミスが起こるのかを脳の仕組みで説明する
この本では脳科学や認知科学の研究を紹介しながら、私たちの脳の癖を説明しています。
ここで重要なのは、私たちの脳が「ミスをする」ものであるということ。
そう、脳はミスをしないものではなくミスをするものなんです。
容量に限界があるというワーキングメモリーの特性
私が特に注目したのは、脳のワーキングメモリーという仕組み。
「1.メモリーミス」と「2.アテンションミス」に関わっており、ワーキングメモリーを制することで、これらのミスを制することができるのです。
ワーキングメモリーとは私たちがなにか作業をする際に使うシステムなのですが、「その容量に限界がある」ことが大きなネックになります。
パソコンでいうRAM(メモリ)のようなもの、という例えが使われることもありますね。
容量に限界があるせいで、「覚えたはずのものを忘れ」「注意していたはずのものを見逃す」のです。
「錯覚をする」脳
ワーキングメモリーの容量に限界があることは分かった。では忘れないようにしておこう、と思ったときに立ちはだかるのが、脳が「錯覚する」ということ。
私が本を読んでいて一番ギクッとした部分です。
注意を向けて、ワーキングメモリーを使って覚えている間は、「確実に覚えた」と強い実感がわきます。
しかし、別のものでワーキングメモリーを使うと、「確実に覚えた」はずの事柄はころっと転げ落ちて忘れられてしまうのです。
圧迫されるワーキングメモリ
ワーキングメモリには容量があるのに、自分が気付かないことでも使われてしまって、ただでさえ少ない容量がますます減ってしまうということがあります。
本の中で書かれていた無駄遣いのうち、今すぐ改善しようと思ったものが3点ありました。
1.注意を向けないためにも注意が必要
Twitterやメールのチェック、スマホのゲーム…「気になるけど我慢しよう」という内容。
これらはすべて、ワーキングメモリーを使っているのです。
2.「不安」・「心配」・「後悔」
「不安」・「心配」・「後悔」もすべて、ワーキングメモリを使います。
この3点って、建設的に未来を考える上でまったくもって役に立たないので本当に浪費としか言えません。
3.すぐにやらない
すぐにやらない言い訳を考えたり、余計なリスクを考えて「不安」を抱えることで、ワーキングメモリがどんどん圧迫されていきます。
脳の癖を知って方法を改善する
この本の真の利用価値はここの部分にあります。
すなわち、脳の仕組みと自分の特性を踏まえて、効率的な仕事を行うためにどのように方法を改善するか。
「b.ミスの基本対策」と「c.マスターへの道」の内容はそれらのヒントになります。
しかし自分で改善方法を考えると、より自分にとって使いやすい方法が見つかり、本の内容以外の面での改善も可能です。
そのため、本の方法を取り入れて良しとするのではなく、自分なりの改善方法を考えていくきっかけとしてこの本を使うのが良いのではないかと思います。
本を読んでみて、すぐにでも役に立ちそうだと思った部分をまとめてみました。
※後半のミス(3.コミュニケーションミス、4.ジャッジメントミス)には全く触れていないように、この記事の内容は本の一部しか扱っていません。
実はこの本を読んで、さっそく一つ生活習慣を改善したんです。
それが、「手帳に使うペンを一色にしたこと」。
この本で説明されている脳の仕組みの部分は、実は目新しい部分はあまりないと思います。
けれど、その仕組みのせいで仕事を行う上でどのようなミスが誘発されるのかということを、これだけ分かりやすく書いた本はこれまで読んだことがありませんでした。
目次を読んで気になる内容があるならば、読んでみて後悔はしません。おすすめです!
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