世の中には「カメラの選び方」に関する記事やブログがたくさんありますが、その中であまり言及されていないけれど、私が最も重視しているポイントがあります。
それが「そのカメラでどんな写真が撮れるか」ということ。
カメラと写真にはまってから3台カメラを使いましたが、次に自分が買うときや他の人にカメラの選び方を聞かれたら、私は絶対にこう言います。
「たくさん作例を見て、気に入った写真が撮れるカメラを買おう!」
この記事は、カメラを選ぶなら作例を見て決めたほうが絶対に満足度が高い買い物になるということを、私の実例を交えながらひたすら熱く語ります。
カメラを始めてみたいけど選び方がよくわからない…という人は、ぜひ一度読んでみてください!
この記事の選び方に向いている人
まず最初に、この記事で熱く語る選び方に向いている人は、以下のような私と同じような目的でカメラが欲しい人です。
- 食べたものや旅行の記録や思い出をきれいに残したい
- 写真を撮影したあと何時間もかけて加工をしたいと積極的には思わない
- カメラや写真のことはよくわからない
- 「いい写真が撮れた!」思えるカメラが欲しい
- カメラのガジェット的な面(見た目やシャッター音など)にはあまり注目していない
「どんな写真がとれるか」の重要性
メーカーやスペックよりも「実際に撮れる写真」を参考にする
カメラが欲しい! と思った人のほとんどは、写真が撮りたいというのが目的だと思います。
しかしなぜか、世の中のカメラの選び方記事は「メーカー」や「スペック」などを重視していることが多いんですよね。
もちろんメーカーやスペックは大事なのですが、それが一番大事かと言われると、「よくわからないけどいい感じの写真が撮りたいなあ」と思ってる人にとっては違うんじゃないでしょうか。
メーカーやスペックは目安にはなりますが、いいカメラを買ったからと言って撮りたい写真が撮れるかは別の話。
なぜなら、人によって撮りたい写真は違うのに、万能なカメラはないから。
値段が高くて良いカメラだし! という理由で買ったカメラが自分の好みの写真を撮るのが難しい機種だった場合、確実にそのカメラに対する満足度は下がります。
さっぱりした和食が食べたいときに、三ツ星のフレンチフルコースを提供されても、「すごいのはわかる…わかるしおいしい、けど私が食べたいのはこれじゃないんだよー!」となるようなものです。
ということで、いい感じの写真が撮りたいなら、いい感じの写真を撮ってるカメラを買うのが、一番手っ取り早く楽しめる方法だと思うんです。
メーカーやスペックは「候補のカメラ」が決まってから考える
もちろん、メーカーやスペックも大事です。
なぜなら「いい感じの写真が撮れるカメラ」が、様々な理由で購入が難しい場合があるから。
よくあるのは予算オーバーやカメラが大きすぎる・重すぎる問題ですね。
できるだけ最初に見つけた候補に近いカメラを見つけるためには、メーカーやスペックが大いに参考になります。
例えば、メーカーは基本的に同じような特徴を持った写真を撮れるように調整していると考えられるので、自分が気に入ったと同じメーカーのものを探すことで、より自分にあった機種を見つけられる可能性があります。
また、スペックを比較することで、例えば予算オーバーで下位機種を検討する場合、自分が妥協できる範囲の違いかを知ることが出来ます。
加工ができるからどのカメラでもいい?
カメラの選び方記事で、よく見かけるのが「現像で修正や加工ができるから撮れる写真の色味や見た目はそれほど気にしないでも大丈夫」という内容。
確かにRAWで撮影して現像ソフトを使うことで、撮影した写真の印象をがらっと変えることはできます。
私もこの方法を初めて知ったときは「これならメーカーとか気にせず撮れるな!」と感動しました。
けれど何度か「RAWで撮影→現像」という工程を重ねるうちに、「いやこれはやっぱり万能じゃないぞ」と気付いたんです。
現像作業って面倒
まずはこれ。単純に現像作業が好きじゃない。できれば避けたい。
確かにRAW撮影をして現像・加工をすると、ぐっと写真の魅力は上がります。
けれど、現像や加工には手間も時間もかかります。
この2つを天秤にかけたとき、私は圧倒的に「手間がないほうがいい!」と思ったんです。
現像作業が苦手だと気づくと、現像前提で撮影するカメラって急に魅力が下がってしまうんですよね。
楽しく旅行に行って写真をたくさん撮って来るのは良いのですが、その後帰ってから絶対に苦手な現像作業がついて回ってくるのですから。
だんだんと「悪くないけど面倒なカメラだなあ…」と思うようになってしまったのです。
現像作業が苦にならない人ならいいんです。
でも、ちょっとでも「現像作業って面倒だなあ」と思う気持ちがあるなら、「現像しないでも満足できる写真が撮れるカメラ」を購入したほうが、絶対にその後のカメラライフが楽しいです。
現像も万能ではない
そして次に気づいたのは「現像で色や質感を完全にコントロールできるわけではない」ということ。
もちろん、プロと呼ばれるような人や熟達者なら、写真のかなりの部分をコントロールできるのだと思います。
でも私は写真の加工に関しては素人。
そして現像や加工方法を積極的に勉強したという気持ちも強くありません。
この程度の使い手が現像ソフトを使うと、「ちょっと色が鮮やかになったわー」程度の加工しかできないんです。
もちろん勉強すれば、もっと現像には可能性があります。
しかし、「現像の勉強」と「好みの写真が撮れるカメラの勉強」どちらに時間を割きたいか?と考えたとき、圧倒的に後者のほうが魅力的でした。
ということで、早々に現像の勉強は捨ててカメラを新しく買うことにしたのです。
具体的に言うと、「富士フィルムのカメラ」の色を再現したかったのですが、撃沈したので富士フィルムのカメラを買いました。
自分の好みの写真の見つけ方
「自分の好みの写真が撮れるカメラ」を探すと言われても、「自分の好みの写真」ってどういうものかよくわからないよ? どの写真も同じように見えるよ? という人は多いと思います。
私も最初にカメラを買うときには、全然わかりませんでしたしね。
見ているうちになんとなーくでも好みの写真というのが分かってくるのですが、ここでは「自分の好みの写真を見つけるヒント」をいくつか紹介します。
たくさん写真を見る
好みの写真を見つけるときには、まずとにかくたくさんの写真(作例)を見てみるのが大事です。
1枚1枚じっくり見る必要はなくて、ざーっと流してみるだけでOK。
記事の後半のほうで写真をたくさん見られるサイトなどを紹介していますので、そちらを参考にしてたくさんの写真を見てみてください。
最初のうちは「どれも同じように見えるなー」という感想になるのは当たり前です。
でもこまめに見るようにしていると、2週間ほどしたら「なんとなくこれ好きかも…?」と思える写真が見つかると思います。
そういった写真を見つけたら機種名を控える、といったことを繰り返していると、そのうち「私はこれが好きなのかも」と思えるカメラが見えてきます。
いきなり機種名を特定とまではいかなくても「このメーカーのものばかり見てるな」「この機種何回か出てきてるな」程度の違いでもいいんです。
ある程度データに偏りが見えてきたら、それが運命のカメラへのヒントになります。
違いのヒント:「色味」
人によって何に違いを見出すかは違いますが、例として私の場合を。
私が大きな違いを感じたのは、写真の色味でした。
私は明るすぎる・暗すぎる色やコントラストのはっきりした色の写真は好きではありません。
一時期はやった「エアリーフォト」も、たまにはいいけど全部これだときついな…というタイプ。
私が好む写真は彩度や色の濃さがマイルドなものらしい、ということに気付いてからは、すべての要素がマイルドながら色彩豊かな写真が撮れるカメラが欲しいなと思うようになりました。
好みの偏りがないなら?
どれだけ見ても好みの偏りがない…ということも、もちろんあります。
これはつまり「どのカメラでも好みの写真が撮れる」ということ。
あなたの写真の好みは、ロケーションや構図で決まるものなのかもしれません。
この場合は、どのカメラで写真を撮っても満足できるので、カメラの機能的な部分(重さや見た目など)から選択肢を絞っていくとよいです。
ただ「好みだなー」とは思っていても実はよく考えると目新しいだけで、そういう写真をたくさん撮りたいかというとそうでもなかった、というパターンもあります。
私の場合はエアリーフォトがこれにあたります。
明るくて素敵な写真なので1枚や2枚混ざる分には良いのですが、全部そういう写真になるかと思うと…胸焼けしそうだなーという感想。
なので、自分の好みの写真がたくさん見つかったときに「すべてこういうパターンの写真だったらどう感じるかな?」というのを確認しておいたほうが良いです。
「ごちそう」ではなく、「ごはん」のような写真はどういうタイプでしょうか?
作例の見つけ方
自分の好みの写真を見つけるために、たくさんの写真を見てみよう!…と思ったところで、どこを見に行ったらよいのかな? となったときは、こちらのサイトを参考にしてください。
私が作例をよく見るところ
フォトヨドバシ
私が一番好きなサイトです。
掲載されている写真が好みのものが多く、飄々とした文章も魅力的。
ショップのサイトなので、カメラやレンズの特徴を極端に変更はしていないと思います。
カメラやレンズごとに独立したページになっていること、1ページ当たりの写真の枚数が少ないことから、たくさんの写真を見るのには不向きな構成ではあります。
しかし、カメラ愛にあふれたサイトなので見ていて楽しいですし、写真のクオリティが高いのでお気に入りの1枚が見つかりやすいと思います。
PHOTOHITO
写真系SNS。正直写真系SNSならどこを見てもいいと思いますが、私は単純にここが使いやすいためこちらを愛用しています。
写真につけられたタグで検索できるので、自分が使いたいシチュエーションに応じた写真を検索することが出来ます。
注意点としては、素人も投稿できるので、同じカメラでもかなりクオリティの異なる写真が見つかること。
また、同じ投稿者がずらーっと写真を並べていることもあるので、「苦手なカメラかと思っていたら単に投稿者の撮る写真が苦手だった」というパターンが出てくることです。
メーカー各社の公式サイト
各社が自分たちの看板を背負って発表しているので、「各メーカーがどういう写真をめざしているのか」が分かりやすいです。
私は今フジフィルムを愛用しているので、レンズ選びのために↓のサイトに良く入り浸っています。
フジフィルム:XF LENS GALLERY
他のメーカーでもこういったギャラリー的なサイトがあるのか探してみたのですが、いまいちよくわかりませんでした。
作例を見る際の注意点
「好みの写真が見つかった!」と思っても、実はその写真はそのカメラで単純に撮れるものではないというパターンもあります。
そこで、写真を見る際に知っておいてほしい点を2つまとめました。
写真は大抵加工してある
ちょっと力を入れて発表されている写真なら、おそらくその写真は多少なりとも加工されている可能性が高いです。
加工しているかどうかという情報はほぼ提供されていないので、「こういう写真が撮れるのね!」と思ってカメラを購入して撮ってみたら、なんか思っていたのとちょっと違った…ということが良く起こります。
よくあるパターンが色。
Twitterやブログなどで「思っていたより鮮やかに写真が撮れない」と嘆いている人をよく見ますが、たぶんその人が見た写真は加工されたものだったのでしょう。
ただ加工が悪いというわけではないですし、加工をすれば「撮りたい写真」になるので、それも踏まえてカメラ選びをすると良いです。
レンズが違う可能性がある
「こんな広大な景色を撮れるカメラが欲しい!」
「星空を撮りたい!」
よくある動機ですが(私も最初はこういう写真も撮りたいなーと思ってました)、大抵これは高いレンズを使ってます!
カメラを買ったらセットで購入できるレンズ(キットレンズ)で撮影できると思っていると、悲しい思いをするので気を付けてください。
ものすごく乱暴なまとめ方ですが、写真の情報を見て「焦点距離が18~50mmあたり」だと、大体キットレンズで撮影できます。
ただ、焦点距離が同じでも高いレンズを使っているとまた撮れる写真がちがうわけで…その辺りにこだわり始めるとレンズ沼が見え始めます。
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