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【美術展の感想】クラーナハ展-500年後の誘惑(国立国際美術館)

クラーナハ展へ行ってきました。

ちょっと特殊な絵柄なのと、私自身がルネサンス期の画家はあまり好きではないということもあって行こうか迷っていたんですが、なかなか興味深く見ることができました。

全力でおすすめ!というわけではないのですが、面白そうだなと思った方は行って損はないと思います。
土曜日の昼過ぎという良い時間にいきましたが、それほど混んでいなかったので、基本的にゆっくり見て回れる展覧会だと思います。


クラーナハのポスターは大きく切り取るとGoogleに怒られそうだったので、ちょっとだけ切り取りました。

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女性の絵画だけではない面白さ

意外と少ない女性の絵画

この展覧会のサブタイトルは「500年後の誘惑」であり、ポスターも女性の絵画を前面に出しているものです。
ということで、てっきり女性の絵画ばかりなのかなーと思っていたら、全くそんなことはありませんでした。
私と同じような心配をしている人がいたら、それは杞憂ですよ!

全6部構成のうち、女性を中心とした絵画は後半の1部と半分くらいかな。
後は何かというと、宗教画や時の権力者の肖像画などが展示されています。

丁寧な説明のおかげであまりよく知らなくても楽しめます

私は基本的に美術史の素養というものがないので、大体展覧会に行く前にささーっとWikipediaを見るくらいです。
そして西洋の人の名前はなかなか覚えられないので、最初の説明を読んでから展示を見て行って、後半の説明でたくさん人の名前が出てきて「これ誰だっけ…」となることが本当によくあります。

そんな私でも、クラーナハという人がその時代どういう立ち位置で絵を描いたのかがわかるくらい展示の説明が充実していました。
人物の説明も重要な部分は繰り返し説明が書かれていたので、解説の途中で迷子になることがありませんでした。

美麗な絵画が多数

私がルネサンス期の絵画はいまいち…と思うのは、この時期の油彩って色がくすんでいるものが多いからなんです。
どうしても経年劣化してしまうんでしょうが、全体的に暗くなった油絵ってなんだか好きになれないんですよね…。

でもこのクラーナハ展の油彩は鮮やかなものが多くて、とても楽しめました。
特に目玉の一つである「ホロフェルネスの首を持つユディト」は大変長い間かけて修復作業をしたようで(会場内のビデオで見れます!)、透明感のある美しい色彩を見ることができます。

きらきらしている絵も何点かあって、つい引き込まれました。
あれは何か特殊な石のようなものを塗り込んでいるのかな?

このようなきらめきにときめく人は多いでしょうし、昔の人もこれに惹かれたのかと思うとちょっと親近感を感じたりしました。

やはり女性の絵画が素晴らしい

女性の絵だけだとつまらないかもな…とか思って敬遠していたわけですが、展覧会を通して見て印象に残ったのは女性の絵画でした。

もし私がこの展覧会にタイトルをつけるとしたらどうするかな~と考えてみたんですが、やはり女性の絵画を中心に据えたタイトルにすると思います。

妖艶な視線と表情

「500年の誘惑」というサブタイトルを体現する絵画は何枚もあるのですが、特に私が魅入られたのは視線と表情。
まさしく「誘惑」という単語がぴったりなんです。
絵画の視線からは「挑発」も感じましたが、キャッチコピーとして選ぶにはちょっと攻撃的すぎるかな。

「誘惑」という単語の、艶めかしさ、柔らかさが、この女性の絵画の魅力を一層引き立ててていると感じました。
美術展のタイトルをつけた人は、良くこの単語を引き出ましたよね。プロの業だなー。

ちなみに女性の顔自体は、個人的には好みではなかったです。
すっごいきついんですよ、顔が!
この時代の特徴なのか、クラーナハの好みなのかはわかりませんが、私はもうちょっと柔らかい表情の人が好きだなあ。

アンバランスな肢体

もうひとつ面白かったのは、女性の体が非常にアンバランスなものが多いことです。

解剖学的には誤りとなる部分もあるのでは?と思うのですが、このアンバランスさが奇妙な魅力を引き出しています。

背景が黒い絵画が多いんですよね。
そこに少し現実離れした白い女性の肢体が浮き上がって見えて、妙に蠱惑的に感じました。

私の一番気に入った絵

今回私が一番気に入った絵は、こちら(画像は公式HPからお借りしています)。


クラーナハ(父)展なのにクラーナハ(子)の絵なのかい!と突っ込まずにはいられないセレクトですが、これです!

これは画像を見ただけではわからないんですけど、この洋服はものすごく手間をかけて作られたんだろうなーというのが絵画を通しても感じられるほど、装飾の描写がほんっとうに美しいのです。
元の洋服の素晴らしさを想像し、それを描き出したこの絵を見ていると、中世の職人さんが魂を込めて刺繍をしている姿が目に浮かぶようでした。

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