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【美術展の感想】フランソワ・ポンポン展(京都市京セラ美術館)

久しぶりに美術展に行ってきました。
これまでは主に西洋絵画やイラスト・デザイン系の美術展が好きで行っていたのですが、コロナで遠出が難しい状況の中そういう展覧会に行けるタイミングがなかなかなかったんです。

造形物の展覧会に狙って行ったことはなかったので、一番行きやすい京都市京セラ美術館でフランソワ・ポンポン展があると知ってからもあまり積極的に行く気もなかったのですが、ふと違うものを見てみるのも面白いかも…と思い立って行ってきました。
前から新しくなった京都市京セラ美術館を見てみたかったんですよね。

それで、実際に行って見たら思ってた以上に楽しめて、心から行って良かったと思える展覧会でした!

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フランソワ・ポンポン展の感想

立体は立体で見てこそ、と実感

絵画でもイラストでも実物を見ると「やはり印刷物とは違うなー」と思うものですが(それが美術展に行く魅力でもあります)、立体はそれ以上に「立体で見る」ということで面白さが分かるのだなと実感しました。

フランソワ・ポンポンは動物彫刻で名を成した作家なので展示物のほとんどが動物なのですが、そのフォルムの細やかさを知るには平面では限界があります。
横から見た後上から覗き込んで、反対側を見る。周囲をぐるりと回る。そうすると、単に平面に見えていた部分が絶妙に膨らんでいるのがよくわかるし、それによって動物たち「らしさ」のようなものがよりはっきりと伝わります。

とはいえ、展覧会のメインになっているシロクマに関しては(これは撮影許可されている作品です)、「シロクマのことを良く知らないから、それらしいかどうか分からない」ということに気づいて、ショックでした。
会場で多く展示されている鳥類は割と目にすることも多いし、特にボストン・テリアは実物を何度も見たことがあるので「後ろからみたときのぽてっとしたお腹も、足をぴんと伸ばすのも可愛いよねー」と思いながら見れたのに…。

もちろん、フランソワ・ポンポンの彫刻の魅力は「それらしさを感じる」というところばかりにあるわけではないので(特に形の美しさを感じる作品も多いですし、これもまた楽しかった)、シロクマを知らないからと言って楽しめないわけではないのですが、常々感じていた「知識の無さが鑑賞の楽しみを減らす」ということを改めて実感したので、もっと観察眼の鋭い人間になりたいです。

ちなみに、昔猫を飼っていたので「猫なら他の動物よりも理解できそう!」と思って回ってたのですが、残念ながら猫はありませんでした。
鳥類はとても多かったので、鳥好きの方は私よりずっと楽しめる展覧会だと思います。首をすくめて丸く(もしくは平べったくなってる)鳥がかわいかったですよー。

会場の説明がナイスアシスト

前身の京都市美術館のときから会場の説明には何度となくハッとさせられてきましたが、今回の展覧会でも美術作品の新しい見方を教えてくれる説明に出会うことができました(なおオーディオガイドについては、音声で酔うようになるときがあるので最近は借りてません)。

特に今回印象的だったのが、フランソワ・ポンポンの作品について、ロダンとブランクーシという二人の彫刻家との関係について言及しながら説明していた解説文。

※以下は私が展覧会を通して考えたことです。解説を全文写してきたわけではないので、かなり解釈を間違えているところもあるかもしれません。実物はぜひ会場で読んでいただければ!

その解説文は最後の部屋にあるのでその部屋に至るまでポンポンの作品を順に見ていくことになるのですが、いくつも作品を見ているうちに「つるりとした表面によって、逆に骨格や筋肉の存在とか、動きとか、そういったものが分かりやすくなっているような…?」ということに気づいたんです。特にでこぼこの作品がいくつか展示されてるのですが、それと比べると圧倒的に表面が滑らかな彫像の方が生命力や存在感のようなものを感じるんですよね。

敢えて省略することによって、強調されるものがあるというのは面白いなあ…と思っていたところに、抽象彫刻のブランクーシを含めた解説を読んで「抽象化とはいったいどういうものなのか」ということを少しだけ理解できたような気がしました。
これまで抽象彫刻って見ても何が何やらという感じだったのですが、この解説文とポンポンとブランクーシの作品を並べた写真を見て、なんとなく抽象彫刻も面白いかな…と思えてきたし、機会があったら見に行ってみたいなと思います。

会場の様子と所要時間

訪問したのは夏休みの土曜日12時頃。
がらがらとまでは言いませんが、結構すいてて一部屋10人いないくらい…。
鑑賞するにはとても良い環境ですが、いい展覧会でしたしもうちょっとお客さん入ってもおかしくないのになーと思います(とはいえ私も普段だったら来なかった展覧会だったわけですが…)。

結構ゆっくり見たつもりだったのですが、1時間ちょっとですべてを見て回ることが出来ました。

でもめちゃくちゃ頭が疲れましたよー!
こんなにいろいろ考えながら展覧会を見たのは久しぶり。勉強したいことがいくつも見つかったし、思い切って行って本当に良かったです。
実はリニューアルしてから初めての京都市京セラ美術館訪問だったので、館内を回ってみようと思ってたのですが、頭が疲れすぎてまったく無理でした。

ちなみにこの展覧会はすいているのですが、他にもいくつか並行して展覧会を行っているため、カフェは大変混んでました。よっぽど時間を外さないとすんなり入れないと思います。
なお向かいの京都市近代美術館のカフェに逃げてみましたがやっぱり結構並んでたので、待ち時間を覚悟するか他の場所に目星をつけておくかしておく方が良いと思います。

イベントレポート
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